🌿 近世英文学史 ― シェイクスピアから啓蒙の時代へ

16世紀末から18世紀にかけて、英文学は中世的な宗教文学から脱して人間性と社会を描く近代文学へと転換しました。本記事はその主要な潮流と代表作をやさしくまとめます。

目次

ルネサンスとエリザベス朝の輝き

16世紀後半、エリザベス1世治世下で人文主義が広がり、英語表現の可能性が急速に高まりました。ウィリアム・シェイクスピアはこの時代の頂点に立ち、恋愛・権力・復讐・人間の内面を劇的に描き出しました。劇場文化が成熟し、文学は貴族から民衆へとまで広がっていきます。

革命と宗教 ― ミルトンの精神世界

17世紀の政治・宗教の激動(清教徒革命、王政復古など)は文学に深い影響を与えました。ジョン・ミルトンの叙事詩『失楽園』は、自由意志・罪・救済といった普遍的テーマを壮大な詩形で問いかけます。

王政復古と理性の時代

1660年以降、社会は再編され、理性と秩序を重視する文学が台頭します。ジョン・ドライデンらによる文体の洗練とともに、啓蒙思想が広まり、文学は風刺や社会批評の役割を強めます。

啓蒙時代と風刺文学

18世紀にはジョナサン・スウィフトやアレクサンダー・ポープなどが活躍し、風刺・皮肉を通じて人間社会の矛盾をえぐりました。文学は読者の理性に訴えつつ、道徳や社会制度への批評を行います。

小説の誕生

印刷技術と読者層の拡大により、18世紀中期には小説が独立したジャンルとして成立します。ダニエル・デフォーの『ロビンソン・クルーソー』やサミュエル・リチャードソンの『パメラ』は、物語文体の多様化と人物心理の細やかな描写を促しました。

近世英文学の意義

近世英文学は理性と感情、人間社会の矛盾を同時に描き出しました。シェイクスピアの人間洞察、スウィフトの風刺、デフォーの物語性――それらは現代にも通じる“人間を問う”力を持っています。

この記事は教養としての英文学入門を意図しています。原文で作品に触れることで、英語表現や時代の価値観をより深く理解できます。

📖 次回の記事では、19世紀のヴィクトリア朝文学 ― 現実と理想のはざまで揺れる時代 ― を取り上げます。

以下は学習者が読みやすい定番版(英語原文/日本語訳や解説版の代表的な版)のリンクです📗

  1. ウィリアム・シェイクスピア(Complete Works)
  2. John Milton『Paradise Lost(失楽園)』
  3. Jonathan Swift『Gulliver’s Travels(ガリヴァー旅行記)』
  4. Daniel Defoe『Robinson Crusoe(ロビンソン・クルーソー)』
  5. Samuel Richardson『Pamela(パメラ/または“淑徳の報い”)』
  6. Alexander Pope『An Essay on Man(人間論)/Selected Poems』

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