やさしく学ぶ英語の歴史

― 英語はどうやって今の形になったの?


目次

英語のはじまり ― ゲルマンのことばから

今の英語は、最初から「英語」だったわけではありません。
およそ1500年前、ドイツやデンマークあたりから来たアングロ・サクソン人が、ブリテン島(いまのイギリス)に住みはじめました。
彼らの話す言葉が、のちの古英語(Old English)です。

たとえば次のような文がありました:

Modern English: The man loves his friend.
Old English: Se mann lufað his frēond.

このように、昔の英語には冠詞や名詞に格変化(けいへんか)があり、今の英語とは文法が大きく違いました。
それでも、「man」「friend」「house」など、今も残る言葉もあります。

🗝 Point:
古英語の時代は、ラテン語の影響を少し受けながら、まだ“ゲルマン語らしい英語”でした。


ノルマン征服とフランス語の影響

1066年、ノルマンディー公ウィリアムがイングランドを征服しました。
この出来事をノルマン・コンクエスト(Norman Conquest)と呼びます。
その結果、支配する貴族はフランス語
を使い、庶民は英語を使うという二つの言語社会ができました。

このころの英語は「中英語(Middle English)」と呼ばれます。
多くのフランス語が英語に入ってきました。たとえば:

フランス語由来意味対応する古い英語
government政府rule
justice正義rightness
beef牛肉cow(動物)

Example: After the Norman Conquest, English borrowed many words from French.
(ノルマン征服のあと、英語はたくさんのフランス語を取り入れました。)

このころの文学では、チョーサーの『カンタベリー物語』が有名です。
この作品が、今の「ロンドン英語(標準英語)」の基礎になりました。


ルネサンスと印刷の時代 ― 英語が広がる

1400年代の終わりごろ、印刷技術がイングランドに伝わりました。
印刷業者ウィリアム・キャクストンが1476年にロンドンで印刷をはじめると、英語の綴り(つづり)と文体の標準化が進みました。

また、ルネサンス(Renaissance)の時代には学問が発展し、ラテン語やギリシャ語からたくさんの学術語が入りました。
たとえば:

  • philosophy(哲学)
  • democracy(民主主義)
  • education(教育)
  • literature(文学)

Example: During the Renaissance, English borrowed words from Latin and Greek for science and art.
(ルネサンス期には、英語は科学や芸術のためにラテン語・ギリシャ語から語を取り入れました。)

このころ、英語の発音にも大きな変化が起きました。
それが「大母音推移(Great Vowel Shift)」です。
“time” が「ティーム」から「タイム」に変わるように、母音がどんどん変化していったのです。

文学では、シェイクスピアの登場が重要です。
彼は英語の可能性を大きく広げ、“green-eyed monster”(嫉妬)や “break the ice”(場をなごませる)など、多くの表現を生み出しました。


大英帝国の時代 ― 英語が世界へ広がる

18〜19世紀、イギリスは産業革命を起こし、世界中に植民地を広げました。
その結果、英語もアメリカ・カナダ・オーストラリア・インド・アフリカなどに広まりました。

Example: The British Empire spread English to many parts of the world.
(大英帝国は英語を世界の多くの地域に広めました。)

このころ、いろいろな地域の言葉が英語に入ってきます。
たとえば:

出身地英単語意味
インドshampoo, pajamasシャンプー、パジャマ
アメリカ先住民tobacco, canoeタバコ、カヌー
アフリカbanana, zebraバナナ、シマウマ

また、学者サミュエル・ジョンソンが1755年に最初の大きな『英語辞典』を出版し、言葉の使い方が整理されました。


現代英語 ― 世界の共通語へ

20世紀になると、英語はさらに大きく広がります。
アメリカが経済・文化の中心になり、映画・音楽・インターネットを通してアメリカ英語が世界のスタンダードになりました。

Example: Today, English is used as a global language in business, science, and technology.
(今日では、英語はビジネス・科学・技術の分野で世界共通語として使われています。)

英語は今やひとつの国の言語ではなく、世界中の人が共有する言語になりました。
母語話者よりも、第二言語として話す人の方が多いのです。

そして、英語は時代とともに変化を続けています。
インターネットの普及で、新しい言葉も生まれました:

新しい英語意味
email電子メール
hashtagハッシュタグ
AI人工知能
selfie自撮り

Example: The Internet has created many new English words.
(インターネットがたくさんの新しい英語の言葉を生み出しました。)


英語の未来 ― 世界をつなぐことば

英語は、ゲルマン語から生まれ、ラテン語・フランス語・アメリカ文化など、多くの影響を受けながら進化してきました。
そのたびに新しい語彙が増え、文法がシンプルになり、表現が豊かになりました。

Example: English changes, but its power to connect people never disappears.
(英語は変化しても、人々をつなぐ力はなくなりません。)

これからもAIや翻訳技術が発展しても、英語は「世界をつなぐコミュニケーションの橋」として生き続けるでしょう。
英語の歴史を学ぶことは、人と人が理解し合う歴史を知ることでもあるのです。


まとめ(Summary)

時代名前主な特徴
450–1150古英語(Old English)ゲルマン系、屈折が多い
1150–1500中英語(Middle English)フランス語の影響、文法が簡単に
1500–1700初期近代英語(Early Modern English)ルネサンス、印刷術、シェイクスピア
1700–1900近代英語(Modern English)大英帝国、辞書、世界への拡大
1900–現在現代英語(Present-Day English)アメリカ文化、インターネット、世界共通語

📘 今日のことば

“The history of English is the history of connection.”
英語の歴史は、人と人をつなぐ歴史である。

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