英語学習でつまずきやすいポイントのひとつが 「三単現のs」。
- なぜ動詞に s がつく?
- どの主語のときに必要?
- そもそも s の由来は?
この記事では、ルールだけでなく、英語史の観点からなぜ残ったのかまでわかりやすく解説します。
目次
■ 三単現のsとは?
三単現とは Third person, Singular, Present の略。以下3つがそろったときに動詞に s がつきます。
- 三人称(he / she / it / 名前 / 物)
- 単数(1人・1つ)
- 現在形(普段のこと・習慣・今のこと)
例:
– He plays tennis.
– She works in Tokyo.
– The cat likes milk.
■ なぜ s が必要なのか?
英語は語順で意味を伝える言語。主語に合わせて動詞の形を変えることで、瞬時に
「だれが何をするのか」
を伝えます。三単現の s はその“印”です。
例:
– He runs every day.(正しい)
– He run every day.(×文法ミス)
■ 歴史で理解する三単現のs
① 古英語(5〜11世紀)
動詞の語尾は複雑で、主語ごとに -e, -est, -eþ, -en がありました。三単現は -eþ が主流で、現代の -s ではありません。
例:
– He loveþ(彼は愛する)
② 中英語(11〜15世紀)
北部方言ではすでに -s を使う傾向がありました。
例:
– He loves
さらに詳しい英語の歴史を知りたい方は、
やさしく学ぶ英語の歴史記事 で、古英語から近代英語までの変化や語順・文法の進化を図解付きで詳しく解説しています。
③ 近代英語(16世紀〜)
英語は語尾を簡略化する流れがあり、I / you など多くの語尾は消滅。結果として、三単現の -s だけが残りました。
■ sが残った理由
- 発音しやすい
- 北部方言で広く使われていた
- 他の語尾が消えて、唯一の主語印として必要になった
つまり、現代英語で残る 唯一の一般動詞の語尾変化 が三単現のsです。
■ 三単現sの使い方まとめ
| 主語 | 動詞にsは? | 例 |
|---|---|---|
| I / you / we / they | つかない | They play soccer. |
| he / she / it | つく | She plays soccer. |
| 名前(Ken, Emma) | つく | Ken plays soccer. |
| モノ(the car) | つく | The car stops. |
注意点
- 語尾が -s, -sh, -ch, -x, -o → es
- 子音 + y → y を ies に変える
- be動詞は形が変わる(He is / She is / It is)
■ 三単現sを自然に覚えるコツ
- 主語を必ず確認する
- 「普段のこと・習慣の文」は特に意識
- 声に出して練習すると記憶に残る
■ まとめ
三単現のsは、単なる文法ルールではなく、英語史の中で唯一生き残った語尾です。
- 古英語:-eþ が主流
- 中英語:北部方言の -s が強まり
- 近代英語:他の語尾が消え、-s が残った
この背景を知ると、単なる丸暗記ではなく「なぜつくのか」が腑に落ちます。
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